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ヤーコンの話

見た目はさつまいもですが、皮をむくとみずみずしい半透明の実が現れ、
一口かじると、食感も味も「梨」のような野菜。
おいしいだけでなく、 現代病の救世主のような高機能食品です。

 
1)
素性のヒミツ

今回からヤーコンのヒミツにせまってみましょう。

デミ姐が、すっかり惚れこんでしまったヤーコン。
初めて名前を目にする方もいらっしゃるかもしれません。

ヤーコンの一回目は、「ヤーコンってこんな野菜」とわかっていただけるように、ヤーコンの素性のヒミツにせまってみます。

ヤーコンは、成長すると人の背丈ほどの大きさになるキク科の多年生草本で、学名を「Smallanthus sonchifolius」といいます。

原産地は、ジャガイモと同じくアンデスの高地、ペルーやボリビアのあたりです。

食用にされるのは、地下にできる塊根。
外見はサツマイモのように見える、根が膨らんだ部分です。

ヤーコンは、アンデスを離れて栽培された実績がとても少なく、日本以外の国ではあまりつくられていません。
今までヤーコンがなかなか知られなかったのもそのせいかもしれませんね。

ヤーコンの栄養的価値に気づいた日本から、健康野菜・ヤーコンのブームを世界に広げることになる可能性が出てきています。

そんなヤーコンが日本に本格的にやってきたのは、1984年のこと。
ニュージーランドから種苗会社がペルー原産の系統品種(ペルーA群)を導入したのが最初とされています。

その後茨城大学農学部で試験栽培を行い、農水省の四国農試(現:近畿中国四国農業研究センター)が精力的に栽培を試みて現在に至っています。

現在では、新野菜や健康野菜のブームで町おこしを行おうという地域がありますが、北海道では置戸町がヤーコンで町おこしを試みたりしています。

一つの野菜として町おこしにつながるほどの魅力を持っているのですが、それはヤーコンに含まれる栄養素(機能性成分)に理由があります。

 
 
INDEX
素性のヒミツ
栄養のヒミツ
繁殖のヒミツ
品種改良のヒミツ
こんなところにもヤーコン
 
2)
栄養のヒミツ

今回はヤーコンの栄養のヒミツです。

新野菜・ヤーコンを一躍有名にしたのは、その栄養価。
フラクトオリゴ糖、ポリフェノール、食物繊維、の3つの成分が、
ヤーコンの名を世に知らしめることになったのです。

まず第一のフラクトオリゴ糖。

果糖とブドウ糖が結合してショ糖になりますが、そのショ糖に1〜8個の果糖が結合したのがフラクトオリゴ糖で、ショ糖に比べると3割ほどの甘み成分になります。

糖分は結合が小さいほど、より体内に吸収しやすいのですが、フラクトオリゴ糖はその結合の仕方から、

  • 虫歯になりにくい
  • 腸内で消化吸収されにくい

という特徴をもち、

  • 整腸作用
  • 血中脂質の改善
  • 血糖値の上昇やインスリン分泌をほとんど生じない


という効果が確認されています。

この甘み成分は、今まではキク科野菜に多く含まれていることが知られていましたが、
今まで多いとされていたゴボウやチコリーからみてもダントツの3倍ほど。

ヤーコン100gあたりには、なんと約9gも含まれているんです。

生で食べてもシャキシャキとほのかに甘く感じるのは、このフラクトオリゴ糖が豊富に含まれているためなんです。

第二にポリフェノール類。

ヤーコンのポリフェノールは「クロロゲン酸」を中心して構成されています。
クロロゲン酸は、コーヒーにも含まれる成分で、
抗酸化作用による活性酸素の除去効果や糖の吸収を抑えて血糖値の安定化を促す効果、血圧の抑制に関与する効果があることが知られています。

ただしこのポリフェノール類は、アクの成分でもあるので、生食したときには若干の渋みを感じるかもしれません。

このポリフェノール類、赤ワインと同等かそれ以上の割合で含まれています。

ポリフェノールの持つ抗酸化作用をうまく利用したいものですね。


第三に食物繊維。

その80%が水溶性食物繊維となっていて、
腸内細菌の活性化や腸内老廃物の除去効果が高い成分です。

フラクトオリゴ糖とともに、メタボリック症候群対策やダイエット効果が期待されている成分ですね。

その他、カリウムが多いことやイモ類中で一番カロリーが低いことなどからも、高血圧対策や、メタボリック対策、ダイエット効果など、さまざまな現代病に効果の期待されている野菜です。

現代の飽食/豊食の時代にあわられた、現代病対策の救世主。

ヤーコンが今まで雌伏の時代を過ごしていたのは、健康野菜を待ち望んだ現代のような時代が来ることをヤーコン自身がずっと待ちわびていたのかもしれません。

 
 
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3)
繁殖のヒミツ

今回はヤーコンの繁殖のヒミツです。

ジャガイモをはじめいろんなイモ類がありますが、ほとんどのイモは種イモを頼りに、次の子孫を残すことができます。

ところが!

ヤーコンは他のイモ類と異なり、食用の部分のイモそのものをそのまま植えても、新しいイモを収穫することはできません。

食用にする塊根部には、芽の原基となる部分が全くないのです。

ヤーコンはイモになる根の部分に栄養分を蓄えますが、繁殖用としては、地下にある茎の部分に、芽になる部分をつくりあげ、わずかな栄養素ととともに、翌年のための命を蓄えていきます。

ヤーコンを収穫する際、地下にあった塊根部を全て取り除くと、真ん中の部分に、茎の集まり、塊茎部が残ります。

この塊茎部に、次の芽となる部分が、いくつか含まれているんです。

ヤーコンは、私たちにその高機能性の塊根部を食べさせるために大きくなり、ヤーコン自身は、塊茎部だけでまた元気に育つのです。

大部分の栄養分をまさに私たちに食べさせるためにあらわれた救世主。

栄養のほとんどを私たちのために作っているとしか思えません。

なんと慈悲にあふれた野菜なのでしょうか。

ヤーコンは購入後に保存していても、他のイモのように「芽がでてきちゃった」ということはありません。

ヤーコンをそのまま家庭菜園で増やそうと植えてみても、芽は出てきませんので気をつけてくださいね。

ちなみに、繁殖のための塊茎部ですが、この部分も食べることができます。
(なんかもったいないやら申し訳ないやらなんですけどね。)

 
 
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4)
品種改良のヒミツ

今回はヤーコンの品種改良のヒミツです。

ヤーコンは、地下にある塊茎部から繁殖することに前回触れましたが、ヤーコンには花も咲き、種で増やしたりすることもできるんです。

ヤーコンを順調に生育させていくと、人の背丈ほど大きくなり、舌状花とよばれるヒマワリに似た綺麗な小さい花を咲かせてくれます。

花が咲けば種も採れるということで、外国から運んできたいろんなヤーコンをもとに、日本での品種改良も始まりました。

ボリビアから導入した「SY102」という品種に、ペルー原産の「SY12」の花粉を交配して、初めて日本で品種登録したのが、ヤーコン農林1号「サラダオトメ」です。

皮をむいたときの外観が優れた様子から「乙女」の字をあてたようですね。

北海道では、標準品種の「SY11」よりも多収傾向にあるようです。

同様な方法で、品種間交配を行い育成したのが、ヤーコン農林2号「アンデスの雪」や、ヤーコン農林3号「サラダオカメ」です。

「アンデスの雪」は、イモの肉食が白いことから名づけられ、長期貯蔵適性が高くなっています。

「サラダオカメ」は、イモの肉食はオレンジ色で、表面に凹凸が多くあり見た目はよくないのですが食味が優れるところから、「オカメ」の字をあてたようです。

この「サラダオカメ」、他のヤーコンの品種よりもフラクトオリゴ糖含有量が高く、より甘みが強くおいしい品種になっています。

ヤーコンはまだ日本で知られ始めたばかりで、登録された品種もこれくらいしかないのですが、ヤーコンもこれから消費量が伸びていくことによって、ジャガイモのように品種で選ぶ時代がやってくるかもしれませんね。

 
 
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5)
こんなところにもヤーコン

今回は、ヤーコンのヒミツの最終回、「こんなところにもヤーコン」です。

ヤーコンのイモの部分に機能的な栄養成分が含まれていることは、前回までに触れてきましたが、ヤーコンはその茎葉部にもフラクトオリゴ糖やポリフェノールが含まれています。

一物全体の考えで利用できるほど、ヤーコンは乾燥させた茎葉部なんかもヤーコン茶として商品化されていたりするんですね。

「αグルコシターゼ」という酵素の阻害活性という効果が、このヤーコン茶を飲むことで認められており、インスリンの分泌を伴わずに血糖値を下げる効果が確認されています。

民間療法としてヤーコンの利用が広まってくる日もあるかもしれませんね。

ヤーコンは、健康ブームにのって、ヤーコン茶の他、干ヤーコンや、ヤーコンジュースなどなど、ヤーコンの加工品もどんどん増えてきています。

まだまだ新顔野菜の域を出ませんが、ヤーコンの持つ素晴らしい特性と、現代の食生活が重なって、 これからヤーコンが欠かせない日がやってくるかもしれませんね。

そんなヤーコンを育ててみると、その葉っぱは矢印の形に見えませんか? 

いろんな健康や食の問題を抱える私たちに、ヤーコンがその矢印で、私たちの進む方向性を示してくれることでしょう。

 
 
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ヤーコンの話
           
 
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